童謡やお祭りに関しての歌というのは、多くの登場人物が歌詞に盛り込まれていたり、歌の内容自体が、そのまま童話の物語形式としてなぞられているといった傾向があって、それが結果的に番手を増やしている要因になっているものと思われます。
この「うれしいひな祭り」も、一般的に歌われている歌詞は2番までで、幼稚園や保育園、小学校でも記憶の限りではやはり2番までだったかな、と思います。
ですが、前述したとおり、この歌も例外ではなく4番まできちんと作られているのです。
さて、この2番の歌詞についてなのですが、解釈の仕方に論争があるようなのです。
それは「お嫁にいらした姉様に よく似た官女の白い顔」のくだりなのですが、まず一つに、お嫁にいらした、という「いらした」の部分が敬語になっています。
敬語が使われているという解釈をそのまま歌詞の意味とするなら、これは間違いなく、この2番の歌詞の主人公である「客観的な人物」から見た様子を歌ったものと思われ、兄に嫁いできた女性の存在を「いらした」と表現しているのだと理解できます。
しかし、その後の「よく似た官女の白い顔」の部分を拾い上げて拡大解釈すると、官女の白い顔を見て、嫁いでいかれたお姉様を思い起こすような表現をしていると取る事もできます。
この歌は昭和11年に山野三郎という方が作詞を、河村光陽という方が作曲をされたのですが、山野三郎という方は、現在ではサトウハチローという名前の方で有名になっています。
そこで、サトウハチローさんが生きて来られた背景に答えがあるのではないかと思いあたり、調べてみたところ、この論争の解釈のヒントとなる逸話に行き着くことができました。
サトウハチローさんは小さい頃に大火傷をしてしまい、それ以来、内向的な性格になっていたのですが、彼には優しいお姉さんがいて、ピアノを教えてくれたり、本を買い与えてくれたりと、時には元気付けたり、遊び相手になってくれたりしたということです。
そのお姉さんが18歳になって嫁ぐことに決まった矢先、結核に犯され、亡くなられてしまったそうで、その時のことを回顧するといった想いが込められているような気がします。
この歌詞は、お姉さんに対する鎮魂歌(レクイエム)といった意味合いと受け取る事もできますね。
そして、もう一方でハチローさんのご子息である佐藤四郎さんが語った、こういう話もあります。
「父は2番の歌詞で、『お嫁にいらした』と身内に対して敬語を用いた事が、とても気に入らなかったのでしょうね」と述べていらっしゃったという事です。
このお話から察するに、決して断定はできませんが、三人官女の人形の白いお顔を見る度に、嫁いでいかれたお姉さまを思い出すという歌詞の解釈の方に分があるのではないかという風に私は感じました。
お祭りに欠かせないもの、といえば、色々なものが思い浮かぶ事と思います。その中には、料理だったり...(続きを読む)
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童謡に限らず、音楽というものはどこかしら似たような想いであったり、経験であったり、その時々を自分にダブらせて同化できる優れたジャンルであると思います。...(続きを読む)